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- 2025.6.16
性病の郵送検査について
先日、性感染症の研修会に参加して、近年増えている性感染症の郵送検査について学んで参りました。
性感染症の郵送検査は、ご自宅で検査サンプルを採取し、それを検査機関に郵送して結果を受け取るサービスです。医療機関を受診する手間が省けるため、プライバシーを重視する方や、忙しくて病院に行く時間がない方に多く利用されています。
しかし、当院では、この郵送検査を利用したものの、その後の治療がうまくいかず相談にいらっしゃる患者さんが増えています。郵送される過程で検体(尿や血液など)にどの程度影響が出るのか不明なため、検査結果の信頼性が判断しにくいという課題がありました。そのため、患者さんがお持ちになる結果をそのまま信じて良いものか、悩ましく感じることも少なくありません。
先日、この郵送検査の実態に詳しい、東京医療保健大学 医療保健学部 看護学科 教授 渡會 睦子先生の講演を拝聴いたしました。
渡會先生によると、現時点では郵送検査のプロトコルが標準化されておらず、郵送検査業者のガイドライン策定が求められているものの、いまだに実施されていないのが現状とのことです。そもそも、郵送検査におけるHIVと梅毒の血液検査は濾紙血を用いて行われますが、梅毒の検査は濾紙血による検査として認可されていません。
さらに、渡會先生らのグループが複数の検査会社に、すでに結果が判明している検体を送付したところ、会社によっては毎回正確な結果が出るところもあれば、そうでないところもあったとのことでした。
もちろん、郵送検査の手軽さや低コストといったメリットは大きいと認識しています。しかし、このような状況を踏まえ、私としては、郵送検査を利用する際は医療機関が提供しているサービスを選択すること、特に梅毒については郵送検査ではなく医療機関で検査を受けることを強くお勧めします。
特に梅毒に関しては、医療機関で行う場合でも感染時期によっては診断が難しく、経過をみて判断することもよくございます。
梅毒に関してはこちらの動画も参考にされてください。
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